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by impreza_silver
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SHINOBI

少し前に古本屋で『バジリスク~甲賀忍法帖』を買って読みました。
山田風太郎の原作を読んだことが無いので
どの程度のアレンジが加えられているかは判りませんが、
忍術と言うにはあまりにもありえない人外の技を使う登場人物たちと、
単に力の強弱だけではなく、技の使い方により勝敗が決する点など
JoJoの原点と言っても良いような作品でした。

『バジリスク』が面白かったので、勢いで同じ原作を映画化した
『SHINOBI』を観る事にしました。

ストーリー
400年の間、いがみ合って来た「甲賀卍谷衆」と「伊賀鍔隠れ衆」
しかし、先代服部半蔵の命により争いあうことを禁じられ
また、徳川家康により戦乱の世も終わったということもあり
しばらくは平穏な暮らしを送っていた。

そんな中、偶然出遭った、甲賀弦之介(オダギリジョー)と朧(仲間由紀恵)。2人は甲賀、伊賀それぞれの跡継ぎだったが、互いに愛し合うようになる。

しかし、徳川家康の命により2つの里からそれぞれ精鋭5人を選び
どちらかを全滅させるまで戦いあわなくてはいけなくなった。

果たして、どちらの里が勝つのか、また2人の運命は・・・

と言う話です。

原作を知らないので、『バジリスク』との比較になりますが、
かなりアレンジされており、山田風太郎ファンからは酷いブーイングの嵐だったようです。

・原作では10対10だったのが5対5にスケールダウンされている。
2時間と言う尺を考えると致し方ないところだと思います。
チョイスされた10人は、原作の中でもまともな術を使う10人だったと言うのも無難な選択でしょう。
原作では、塩をかけるとナメクジのように体が溶けると言うもはや忍術ではなくスタンド使い、いやむしろスタンドとしか思えないようなキャラも出てきます。

・薬師寺天膳がへたれになっている。
原作では実質的な伊賀のリーダーとして、また不死の体を持つ最強(最恐?)の忍者として、見事な悪役っぷりを演じていた薬師寺天膳がたいした見せ場も無いまま自殺してしまうと言うありえない展開になっていました。

・2つの里を戦わせるのにもっともらしい理由が付いている。
原作の重要なファクターに「全く無意味な戦いの中で死んでいく忍者達の悲劇」と言うのがあると思います。
この映画では、2つの里があまりにも強すぎるために太平の世を続けるためには、この危険な里自体を滅ぼさなければならないと言う理由の元、徳川家康は戦いを始めさせますが、
原作では、徳川家康は単に世継ぎを決める手段として、闘犬のごとく2つの里を争わせようと言うただそれだけの理由で戦わせます。
しかも、その理由は実際に戦うもの達には知らせられず、訳も判らぬまま、ただ殺し合いを始めるのです。
そのため弦之介が理由を質すために駿河に向かうと言うストーリーが成り立つわけですが、
映画では理由を聞かされているにも拘らず、理由を質すために駿河に向かうと言うトンチンカンなストーリーが展開して行きます。

・やたらと美しく見せようとしている演出
芸術的な作品にしようとしてか、迫力よりも美しさを求めて作られていると思われるCGや、美しい風景の描写がされています。また、ロミオとジュリエット的な展開もやたらと強調されており宣伝も純愛映画のような線を狙っていました。
これはこれで悪いことではないのですが、山田風太郎自ら「全く意味の無い作品を書きたかった」と言っているにも拘らず、そういった路線を目指すのはどうかと思います。
まぁ、そうでもしないとスポンサーが付かなかったんでしょうけどね。

ただ、個人的には元気だった頃の角川映画『伊賀忍法帖』のような後に何も残らない娯楽作品を目指してもらいたかったと思ってしまいます。

・ラストのお涙頂戴
ラストに関しても『バジリスク』のほうが良いです。あざとい演出が鼻に付く映画はどうも好きになれません。ラストカットもいまいち意味不明だし。
(あの娘は目が見えないの?)
まぁ、私は泣けましたけどね。(なんせ、『ポリスアカデミー』でも泣ける人間なので・・・)
普通の人は引くでしょう。

とまぁ、どこをどうとっても、原作に遠く及ばないと言うのはしょうがないんですかねぇ。
どうしても映像で見たいという人は『バジリスク』のアニメ版もあるそうなのでそちらのほうが良いかもしれません。

まぁ、どちらにせよ弦之介は活躍しませんが・・・
by impreza_silver | 2006-06-19 05:04 | 映画(サ行)